古河サポーターズ
猫写真家・沖昌之さんと考える。古河で暮らす猫ちゃんたちのしあわせ
「古河の魅力ってどんなところだろう?」をいろいろな分野の方にプロの視点でお伺いする企画の第2弾。今回は、猫写真家の沖昌之さんと2023年4月にスタートした茨城県内初の愛猫登録制度から古河で暮らす猫と人々のしあわせを考えます。沖さん撮り下ろしのかわいい猫たちの写真も必見です!
写真集『必死すぎるネコ』シリーズは3作で累計8万部を突破。猫の自然な姿をとらえた写真をアップするインスタグラムは、フォロワー35万人越えの人気猫写真家・沖昌之さん。2014年から猫の写真を撮り続けている沖さんが、リアルに感じている街の猫事情について伺います。
「僕には、猫の写真を撮る拠点がいくつかあって、全国の猫島を回ることもしばしば。いろいろな土地を訪れてきましたが、自治体で飼い猫の登録をしている地域はなかったですね」
古河市の愛猫登録制度とは?
今年度(2023年)4月1日に導入された茨城県内初の飼い猫を登録する制度。愛猫に登録番号が割り振られ、飼い猫であることを示すグッズを交付。愛猫の迷子や交通事故の被害を防ぎながら、飼い主の適正飼育の意識を高めて地域トラブルを減らす目的でスタートしました。当初の想定を大幅に超えた1,300件以上(2023年10月現在)の登録があり、鑑札が入荷待ちになるほどの反響が。
令和6年3月31日まで無料で登録できます。
登録するともらえる鑑札や門標、愛猫カードがこちら。首輪に着ける鑑札には登録番号が刻印されていて、猫の住所やプロフィールと紐づけられる、いわば猫版の住民票。
「グッズ自体もとても可愛いですね。僕が古河で猫を飼っていたら、このグッズ欲しさに登録してしまいそう(笑)というのは冗談ですが、猫を守ろうと行政が率先して取り組んでくれるのは本当に素晴らしいと思いますよ」
「長年に渡り猫の撮影を続けてきて、奇跡の一瞬に出会える嬉しさは本当に大きいです。しかし、普段その場所にいる子が遠出をしてしまい、お世話をしている方と何時間もかけて探し回るといった場面に遭遇したことも。僕は地域猫を撮影しているのですが、家猫は基本的に外に出さない方がいい......と思っています。いろいろな考えがありますが、経験してきたからこそ感じることです。率直に、愛猫登録制度は猫も飼い主も安心して暮らせる素敵な取り組みではないでしょうか」
真剣な眼差しで、猫への想いを語ってくれた沖さん。ここからは、実際に愛猫登録制度を利用する古河市民の方のお宅に伺います。
今回、お邪魔したのは古河の動物たちの健康を守る堀江動物病院。入口には登録するともらえる門標が貼ってありました。
病院の2階にはかわいい猫ちゃんが3匹。タラオくん、ソラくん、ハマグリくんはそれぞれ事情があり堀江先生が引き取った保護猫です。「この中だと、タラオは赤ちゃんのときに家に来たので1番人懐っこいですね。逆に、ソラとハマグリは成猫で引き取ったので少し警戒心が強いかな」と堀江先生。
タラオくんの無邪気な姿に沖さんの頬が緩み、シャッターを切る手が止まりません。
「タラオくんはものすごく人懐っこくてマイペースやなぁ。大切にしてもらってるんやねぇ」
沖さんのやわらかい雰囲気に猫たちもみるみる心を許し、愛おしい姿をたくさん撮らせてくれます。
安心したように身を預けるタラオくんとは裏腹に、少し眉をひそめる堀江先生。
「人懐っこいからこそ、何かあったとき......例えば何かの拍子で外へ飛び出しちゃうことを想像すると本当に心配ですね。人への警戒心がない子は、警戒心が強い子に比べて咄嗟に動けない傾向があり、外の世界がより危険なんです」
たくさんの猫を見てきた沖さんにも経験があるようで、「なるほど。たしかに、そんな場面に遭遇することがあります。僕は、普段決まった街で撮影をしているので、顔なじみの猫も多いんです。たまに知らない顔の猫がふらっと現れて、しかも人懐っこかったりすると『飼い猫が迷子になってしまったのでは?』と心配になることも。
そんなときは地域のボランティアの方に知らせていますが......鑑札を付けていればすぐに対応できますよね。見つかる確率もグッと上がる気がするなぁ」と、リアルな意見が。
古河市では、屋内飼育を推奨していますが、生き物だからこそ難しい場合も。沖さんも、そんな光景を目にしたことがあるそう。
「わざとじゃないから悲しいんです。窓をちょっと開けるタイミングや出かける間際......心のどこかで飼い主さんは心配しているはず。制度を利用する人が増えて、地域一体でペットを守っているという安心感があれば、少しでも心が軽くなる気がします」
堀江先生は、家族で病院にペットを連れてくる光景をよく見かけるのだとか。
「古河は家族一体となって、2世代、3世代でペットを引き継いでお世話している方が多い印象です。ペットを家族の一員として、本当に大切に飼っている」
「昔に比べて、ペットの家族化がより進んでいますしね。そんな家族を守ってくれる制度をいち早く実行した古河市の取り組みは本当にすごい。猫も人もしあわせに暮らせる街、とても素敵だと思います」
沖さんの言葉によって、この制度の重みや大切な猫をどう守っていくかを改めて考えさせられました。
大切な愛猫のために1人でも多くの方が愛猫登録制度を利用し、みんなが安心できる「こがでくらすと、猫も人もしあわせ」な街を目指していきます。
編集・執筆/vivace
撮影/寺田拓真
※ 撮影中は特別に鑑札を外しています
愛猫登録制度に関するお問い合わせ先
古河市 環境課
所在地:〒306-0198 茨城県古河市仁連2065番地
電話番号:0280-76-1511(代表)
ファクス:0280-76-1663
制度の詳細はこちら